令和元年5月9日判決言渡 同日原本受領 裁判所書記官
平成30年(行コ)第9号 海外渡航費等公金返還義務付け(住民訴訟)請求控訴事件(原審・那覇地方裁判所平成29年(行ウ)第17号(以下「甲事件」という。)、平成30年(行ウ)第2号(以下「乙事件」という。)、同第6号(以下「丙事件」という。))
口頭弁論終結日 平成31年3月5日
判決
当事者の表示 別紙当事者目録のとおり
主文
1. 本件控訴を棄却する。
2. 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
- 原判決を取り消す。
- 被控訴人は、亡翁長雄志相続人に対し、95万8935円の支払を請求せよ(甲事件)。
- 被控訴人は、岸本義一郎に対し、66万7017円の支払を請求せよ(乙事件)。
- 被控訴人は、阿波連貴夫に対し、64万5017円の支払を請求せよ(乙事件)。
- 被控訴人は,岸本義一郎に対し、2万5000円の支払を請求せよ(丙事件)。
- 被控訴人は,阿波連貴夫に対し、2万5000円の支払を請求せよ(丙事件)。
第2 事案の概要(略称は原判決のものを用いる。)
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本件は、沖縄県の住民である控訴人らが、被控訴人に対し、沖縄県知事であった翁長前知事は、平成27年9月21日にスイス連邦ジュネーブで開催された国連人権理事会の第30回定期会合に出席し、演説を行ったところ、同演説は翁長前知事が個人として行ったもので、沖縄県知事としての公務には当たらず、同演説に係る諸経費は公金により賄われるべきでないにもかかわらず、沖縄県は、翁長前知事並びに同演説に同行した岸本秘書及び阿波連主査の各出張費用を公金から違法に支出したため、翁長前知事らには不当利得が生じているなどと主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、①翁長前知事に対して、渡航費及び宿泊費として支出された合計95万8935円の不当利得返還請求をすること(甲事件)、②岸本秘書に対して、交通費及び宿泊費等として支出された合計66万7017円の、阿波連主査に対して、交通費及び宿泊費等として支出された合計64万5017円の各不当利得返還請求をすること(乙事件)、③岸本秘書に対して、航空券の変更費用として支出された2万5000円の、阿波連主査に対して、航空券の変更費用として支出された2万5000円の各不当利得返還請求をすること(丙事件)をそれぞれ求める住民訴訟である(ただし、甲事件及び丙事件に係る各請求については控訴人らのうちの一部の者が求めるものである。)。なお、翁長前知事は、原審口頭弁論終結後である平成30年8月8日に死亡した。
原審は、本件各訴え提起前にされた本件各住民監査請求につき、いずれも、住民監査請求期間が経過した後にされたことについて正当な理由があるとはいえず、本件各訴えは、いずれも適法な 住民監査請求を前置しないもので不適法であるとして、本件各訴えをいずれも却下したので、控訴人らが控訴した。
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前提事実、争点及びこれに対する当事者の主張は、原判決3頁7行目冒頭から同8行目末尾までを「イ 被控訴人は、沖縄県の執行機関である。」と改めるほかは、原判決の「事実及び理由」第2の2及び3のとおりであるから、これを引用する。
第3 当裁判所の判断
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当裁判所も、原審同様、本件各訴えはいずれも不適法であるから却下されるべきものと判断する。その理由は、原判決12頁13行目の「本件会議における」を「本件会議においては発言の機会が与えられていない、すなわち」と改めるほかは、原判決の「事実及び理由」第3の1及び2のとおりであるから、これを引用する。
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よって、原判決は正当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。