沖縄県監査委員殿
平成30年3月22日
沖縄県職員措置請求書
第1 請求の要旨
沖縄県知事の翁長雄志氏は沖縄県に対し、賠償金319,849円(沖縄県警による道路検問の行為を違法だとした平成28年〈ワ〉第893号事件にて、那覇地方裁判所の平成30年1月16日付判決につき、控訴を断念した違法によって沖縄県が被ることになった支払金319,849円に係る損害)を支払え。
上記のとおり地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
平成30年4月17日
沖縄県職員措置請求書について(通知)
平成30年3月22日付けの沖縄県職員措置請求(以下「本件請求」という。)については、下記理由により却下します。
記
地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項に定める住民 監査請求は、普通地方公共団体の執行機関又は職員による違法若しくは不当な公金の支出、契約の締結等の財務会計上の行為によって、当該普通地方公共団体に損害を与え、又は与えるおそれがある場合に、その事実を証する書面を添えて、監査委員に対し、監査を求め、当該財務会計上の行為を防止又は是正するために必要な措置を講ずべきことを求める制度であることから、住民監査請求においては、特定の財務会計上の行為についての客観的かつ具体的な違法性又は不当性が示されることが要件となる。
本件請求において請求人は、沖縄県知事翁長雄志が沖縄県警の意見を退けて控訴せず、これによって確定した一審判決に従って、損害賠償金319,849円を支払ったことは知事に委ねられた裁量の範囲を逸脱するもので違法であると主張し、沖縄県は翁長雄志知事に対して損害賠償を求めるよう請求している。
請求人は、那覇地方裁判所が被告沖縄県に対し、原告に損害賠償金の支払いを命じた 一審判決について、知事が控訴せず一審判決が確定することを新聞記事により知り、平成30年3月12日付けで被告沖縄県が原告に支払った損害賠償金について公文書の開示を求め、同年3月16日付け沖会第1270号で開示を受けた。これらを踏まえて、請求人は、知事が県警の意見を退けて控訴せず、これによって確定した一審判決に従って、損害賠償金319,849円を支払ったことは知事に委ねられた裁量の範囲を逸脱するもので違法であると主張している。
知事が訴訟遂行するにあたっては、県議会の議決を得る必要があり、議会への提案は法第149条第1号により知事の権限とされている。訴訟遂行の判断はいわゆる行政行為には当たらないとされており、裁量とは行政行為を判断するにあたって論じられるものであることから、裁量の範囲を逸脱しているとの請求人の主張は認められない。
また、知事が控訴をしなかったことによって確定した一審判決に基づき、沖縄県が損害賠償金を支出したことについて、財務会計法規上の義務違反は認められない。
よって、本件請求は、法第242条第 1項の受理要件を具備しているとは認められない。
したがって、本件請求は、法第242条第1項に定める要件を欠く不適法な請求として却下することを相当と判断した。